2010年3月25日木曜日

世界遺産登録と環境の変化

世界遺産に登録されると、それを将来に継承していくため、
景観や環境を保護していかなければなりません。
一方で、世界遺産に登録されたことにより、観光客が増加して、
周辺地域の開発など、環境に影響を与えるケースも増えています。

ドイツのケルン大聖堂は、世界最大のゴシック様式の建築物です。
しかし、1996年に世界遺産に登録された後、
周辺の高層建築物計画による景観破壊が問題となりました。
そのため、2004年には危機遺産に指定され、
近隣の高層ビル建設計画とのトラブルもあり、
大聖堂の周囲では、高さ規制が行われることになりました。

同じく、ドイツ・ドレスデンのエルベ渓谷も、
2004年に世界遺産に登録されたのですが、
2006年には「危機にさらされている世界遺産」のリストに
登録され、世界遺産リストから除外される可能性もある、
との警告を受けてしまいました。

交通渋滞を解消するのに、エルベ渓谷を渡る橋の建設計画がある、
という理由からでした。
橋を建設することによって、
周辺の文化的景観が損なわれてしまい、
文化遺産としての要件が認められなくなるというのです。

そして、日本においても、
岐阜県、富山県の白川郷・五箇山の合掌造り集落は、
世界遺産に登録された後、観光客が激増しました。
しかし、これらの集落に実際に暮らしている住民の家の中を、
心ない観光客が覗き込んで、トラブルになったりしています。
世界遺産に登録されることによって、
その環境が悪くなってしまうこともあるのですね。