2010年6月5日土曜日

世界遺産の問題点

世界遺産の登録をめぐっては、幾つかの問題が指摘されています。
そのひとつが、文化遺産と自然遺産の数の不均衡です。
2009年現在、登録されている世界遺産は総数で890件で、
文化遺産は689件、自然遺産は176件、複合遺産は25件です。

文化遺産が自然遺産のおよそ4倍という不均衡の理由のひとつは、
自然遺産の保護が難しいということがあります。
自然遺産に登録されているインドの「マナス野生生物保護区」、
中央アフリカ共和国の「マノヴォ=グンダ・サン・フローリス
国立公園」などは危機遺産にも登録されています。

文化遺産と自然遺産の登録数の不均衡のもうひとつの理由は、
自然遺産の場合、対象となるのはひとつの山や谷ではなく、
ある程度の面積をもつ地質、生態系、景観などの全体です。
したがって、1つの教会、遺跡、という文化遺産と比べ、
その「普遍的な価値」の見極めが難しいということがあります。

また、登録の条件として、登録された後、将来にわたって、
継承していくための保護や管理が必要とされます。
そのために、保全状況を6年ごとに報告し、
世界遺産委員会での再審査が行われるのですが、
やはり、生態系全体の保全というのは難しいのです。