2010年7月3日土曜日

世界遺産の誕生

世界遺産が生まれたのは、
1960年代にエジプトのナイル川流域に建設計画が持ち上がった
アスワン・ハイ・ダムがきっかけでした。

このダムが完成すると、エジプト南部のナイル川流域にある、
アブ・シンベル宮殿からフィラデルフィアまでのヌビア遺跡群が
ダムの底に沈んでしまうことになります。
そこで、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、
ヌビア水没遺跡救済キャンペーンを開始したのです。

世界60カ国の支援によって、考古学調査が行われた結果、
ヌビア遺跡内のアブ・シンベル神殿は移築されました。
そして、このキャンペーンをきっかけにして、
歴史的価値のある遺跡、建築物、自然などを、
国際的に保全していこうという機運が生まれたのです。

1972年、ユネスコのパリ本部でユネスコ総会が開かれ、
「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」
が満場一致で成立しました。
この条約に基づいて登録されたものが世界遺産です。

文化遺産は、優れた普遍的価値をもつ建築や遺跡などで、
自然遺産は、優れた価値をもつ地形や生物、景観をもつ地域です。
また、危機遺産は、危機にさらされている世界遺産で、
後世に残すことが難しくなっているものです。

その他、戦争や人種差別など、
人類が犯してしまった罪を証明するものも、
「負の世界遺産」として登録されています。

世界遺産リスト登録の第1号は、アメリカのイエローストーンや、
ガラパゴス諸島などの12件です。(自然遺産4、文化遺産8)
エジプトのヌビア遺跡群も、
1979年に世界文化遺産として登録されました。
また、日本がこの世界遺産条約を批准したのは1992年のことです。