2014年6月10日火曜日

古都京都の文化財

1993年に奈良県の「法隆寺地域の仏教建造物」が登録された後、
翌1994年には、金閣寺、銀閣寺をはじめとする「古都京都の文化財」が、
ユネスコの世界文化遺産に登録されました。

さらに、1998年には、大仏で有名な東大寺、正倉院をはじめとする、
「古都奈良の文化財」も文化遺産に登録されることになります。

「古都京都」とは、京都市、宇治市および滋賀県大津市一帯で、
文化遺産登録の基準2、4を満たしていると認定されました。

基準2は、「ある期間を通じて、または、ある文化圏において、
建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、
人類の価値の重要な交流を示すもの。」とされています。

具体的にいえば、京都は8世紀から17世紀の間、
宗教・非宗教建築と庭園設計の進化にとって主要中心地であり、
日本の文化的伝統の創出において決定的な役割を果たしたということです。

基準4は、「人類の歴史上重要な時代を例証する、建築様式、建築物群、
技術の集積、または景観の優れた例。」となっています。

具体的には、京都の現存文化財における建築と庭園設計の集積は、
前近代における日本の物質文化のこの側面に関する最高の表現である、
ということです。

そして、対象となったのは、金閣寺(鹿苑寺)、銀閣寺(慈照寺)のほか、
清水寺、西芳寺(苔寺)、龍安寺、上鴨神社、下鴨神社、東寺、延暦寺、
醍醐寺、仁和寺、平等院、宇治上神社、高山寺、西本願寺、二条城です。

2013年5月23日木曜日

法隆寺地域の仏教建築物

奈良県にある「法隆寺地域の仏教建築物」は、
1993年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

この「法隆寺地域」というのは、
具体的には奈良県生駒郡斑鳩町を指しており、
その仏教建築物は、聖徳太子と深い関係があります。

中国の六朝時代の建築の影響を受けており、
法隆寺の西院伽藍は世界最古の木造建築物といわれています。

明治時代の初期には、仏教寺院や仏像などを廃毀して、
仏教に対して弾圧を加えた「廃仏毀釈」により、
法隆寺をはじめとするこれらの寺院も打撃を受けました。

しかし第二次世界大戦後、
文化財保護法により国宝ならびに重要文化財に指定され、
そして、世界遺産として登録されることになったのです。

2012年1月6日金曜日

日本にある世界遺産

2011年、岩手県・平泉が文化遺産として、
東京都・小笠原諸島が自然遺産として、
それぞれユネスコの世界遺産に登録されました。

なお、平泉の文化遺産は、
「仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」
というのが正式な登録名称となっています。

これで、世界遺産に登録されている日本の文化遺産12件、
自然遺産は4件となりました。

文化遺産のリスト
・法隆寺地域の仏教建造物(奈良)
・姫路城(兵庫)
・古都京都の文化財(京都)
・白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)
・原爆ドーム(広島)
・古都奈良の文化財(奈良)
・日光の社寺(栃木)
・琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄)
・紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山、奈良、三重)
・石見銀山遺跡とその文化的景観(島根)
・平泉-仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手)

自然遺産のリスト
・屋久島(鹿児島)
・白神山地(青森、秋田)
・知床(北海道)
・小笠原諸島(東京)

2010年11月19日金曜日

負の世界遺産

世界遺産に登録されている遺跡や景観、自然というものは、
「人類が共有すべき普遍的な価値を持つもの」とされています。

一方で、戦争や人類差別など、人類が犯した罪を証明するものも、
逆の意味で私たちに忘れてはならない教訓を伝えています。
これらは「負の世界遺産」として登録されています。

たとえば、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所は、
ナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺した強制収容所で、
現在のポーランドにつくられたものです。

南アフリカ共和国のロベン島は、
周囲の海流が強く、脱出が困難なことから、
政治犯の監獄として使われていました。
後に大統領となったネルソン・マンデラ氏も収容されていました。

他にも、奴隷貿易の拠点だったセネガルのゴレ島や、
タリバンに破壊されたアフガニスタンのバーミヤン渓谷の遺跡、
そして、日本では広島の原爆ドームが登録されています。

こうした負の世界遺産と呼ばれるものは、
人類が犯した悲惨な出来事を人びとの記憶にとどめ、
二度とその過ちを繰り返さないようにするために登録されました。

教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さない、
というのがユネスコ設立の理念です。
そして、ユネスコ憲章の前文には、
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、
人の心の中に平和の砦を築かなければならない」とあります。

2010年10月21日木曜日

世界無形遺産

ユネスコは、2003年に開かれた総会で、
「無形文化遺産保護条約」を採択しました。
それに基づいて登録される世界的な価値のある無形の文化財が、
「世界無形遺産」です。

この世界無形遺産の対象となるのは、
民族音楽、ダンス、劇などの芸能や、
社会的習慣、儀式、祭礼、伝統工芸技術、文化空間などです。

世界無形遺産リストには、
・代表リスト(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)
・危機リスト(緊急に保護する必要のある無形文化遺産の一覧表)
という2種類があります。

たとえば、エジプトの叙事詩「アル・シラー・アル・ヒラリア」、
イタリアの「シシリアの人形劇」、
コロンビアの「バランキーヤのカーニバル」、
インドの「ラーマーヤナの伝統演劇」などがあります。

日本でも、2001年に「能楽」、
2003年には「人形浄瑠璃文楽」、
2005年には「歌舞伎」がリストに掲載されました。

2010年9月3日金曜日

世界自然遺産の登録基準

ユネスコの世界遺産に登録されるためには、
「顕著で普遍的な価値」を持っていなければなりません。
そのうえで、世界遺産登録基準として定められた項目のうち、
少なくとも1つは満たしていることが必要となります。
そのなかでも、世界自然遺産の登録基準とされている項目は、
以下のようになっています。

・ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性を持つ、
 最高の自然現象または地域を含むもの。
・地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。
 これには、生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行
 過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
・陸上、淡水、沿岸、および、海洋生態系と動植物群集の進化と
 発達において、進行しつつある重要な生態学的、
 生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
・生物多様性の本来的保全にとって、
 もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。
 これには、科学上または保全上の観点から、
 すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが
 含まれる。

これらの基準に基づいて、各国が暫定リストに掲載し、
提出した地域を、ユネスコ世界遺産センターの評価依頼を受け、
国際自然保護連合(IUCN)が現地調査をして報告します。
現在、日本で登録されている世界自然遺産は、
「屋久島」「白神山地」「知床」の3つとなっています。

2010年8月3日火曜日

世界遺産とユネスコ

世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択されました。
(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)
この条約に基づいて登録されるのが世界遺産となります。

そのユネスコ(UNESCO)というのは、
United Nations Educational, Scientific and Cultural Oganization
の頭文字をとったもので、国際連合教育科学文化機関のことです。

ユネスコは、国連の経済社会理事会の下におかれた専門機関で、
教育、科学、文化の発展と推進を目的として設立され、
フランスのパリに本部が置かれています。

ユネスコは、その活動における目標として以下を挙げています。
・万人のための基礎教育
・文化の多様性の保護および文明間対話の促進

万人のための基礎教育については、
識字率の向上や義務教育の普及のための活動が行われます。
一方、文化の多様性の保護および文明間対話の促進については、
世界文化遺産に関する活動が行われているのです。